三重県三重郡菰野町出身 愛知県在住。
諸岡 健太さん
ソムリエ
名古屋市丸の内の『寿し道 桜田』にて、
寿司に合わせて、シャンパン・ワイン・日本酒・お茶をペアリング。
ティーペアリングのお茶は自身で創作している。
「ソムリエ」という職業に関心を持ち、
ワインという世界に引き込まれていった
カッコイイから始まった
ソムリエという職業
まずは諸岡さんの仕事の経緯を教えてください。
高校卒業後、四日市にある『ユマニテク調理製菓専門学校』で勉強をし、卒業後は桑名にある和洋中の創作料理を提供する居酒屋に勤めていました。そこに10年以上勤務していたため、その店が展開するパン屋併設のカフェとバーにも配属されました。そのバーで〝ソムリエ〟という職業の方に出会いました。ワインというもの、そして給仕(サービス)するということに興味を持ちました。正直言うと、「これたぶんモテるだろうな」と思いました。(笑)
ワインの楽しさは、
人を感動させられるということ
勉強するうちに「ワインは人との出会いがあり、人を喜ばせることができるお酒だ。もっと勉強したい。」と夢中になりました。自分がワインを提供していくということに確信を持ち、ワインで繋がる世界を覚えていきたいと思うようになったのです。ただ、当時三重県ではソムリエがあまりいませんでした。そのため人を感動させられるワインをもっと勉強したいという想いから、名古屋に転居しフレンチレストランで約3年間勉強させていただきました。その間に日本ソムリエ協会の「ワインソムリエ資格」を取得。そして、35歳で現職場の『寿し道 桜田』に勤務し、ソムリエとして日本酒・ワイン・お茶をコースの料理に合わせて提供しています。ワインペアリングは有名ですが、私はティーペアリングも提供しています。
個人の固定概念を壊し感覚を変えることは難しいけれど、
提案する楽しみの方が大きい
ワインはフランス料理だけではなく、日本料理や寿司に合わせるなど、色々な可能性があると思いました。以前から交流のあった『寿し道 桜田』の大将、太田 雄斗さんは、自身もソムリエの資格を持っており理解があるためモチベーションも上がります。〝お寿司には日本酒〟という元々あるお客様の感覚を「これとこれが合います」と、理論をもって提供することによって、「お寿司にワインも合うんだな」と徐々に変えていけるのが楽しいんです。私たちスタッフもお客様と共に、もっと新しい世界を広げていきたいです。
理論でお出ししているんですか?
理論の塊ですよ。例えば、大将が握るネタに対して、どのようなお米を使い、どのような酢を使い、加えて温度・提供する順番・施しを考え、それに合わせる指針を立てるんです。そして、その人その人に合わせてサービスをする。まさしくお客様との掛け合いです。経験に基づき予想を立て「美味しい」と感じてもらえるパターンを導きます。何よりその人を理解することが大切なんです。
大将が提供する寿司や料理の順番に合わせて、お客様の好みの味・呑むペース・楽しみ方を加味して絶妙なタイミングで出されるペアリング。
季節の寿司や料理に合わせて、
オリジナルブレンドのティーペアリングを提供。
呑める人も呑めない人も
楽しめる空間を作る
それが自分の責任だと思う
『寿し道 桜田』は大将の料理が提供され、そこに諸岡さんのティーペアリングが絶妙なタイミングで合わさる。お酒が呑めない人も食を楽しむことができる空間ですね。
お酒を飲めない人は「ウーロン茶」「緑茶」の選択肢しかない。それではつまらないなと。それならその人だけの特権で、ノンアルコールのティーペアリングを作ろうと考えました。提供するお茶も自分が作るオリジナルブレンドです。どんな人も楽しめる空間を作る。それが自分の責任だと思っています。お客様が楽しんでもらえると、大将も僕も乗ってくる。相乗効果ですね。
まず枝豆の皮を手揉みする。手の方が乾燥してきたことを感じやすいため、作業はほぼ手作業。枝豆など炒った方が美味しくなる野菜は、この鉄板を使い低温の110度で乾燥させている。枝豆の一つ一つが縮んで、とても硬くなる。
次に鉄のフライパンを火にかけて、焦がすように焼いていく。(先ほどの鉄板での作業とは、また用途が違う。)枝豆に傷が付きにくく、ひっくり返しやすいため、こちらも手作業。大豆のような香りになったら、乾燥作業が完了。同じように他の野菜や果物も乾燥させて、材料を作っておく。
お茶をベースに、乾燥させた野菜や果物・ハーブ・スパイスをブレンドしていく。ブレンドする野菜や果実は時期によって変え、分量も調整している。この段階で自分が想像していた完成系の香りがするため、足らない要素があれば足していく。水に浸すとスパイスの香りが軽減しまうので、それも予想しての作業になる。このようにしてできたオリジナルブレンドをティーペアリングで提供している。
『寿し道 桜田』の最近の展開を教えてください。また、今後のビジョンはありますか?
2023年5月25日に完全紹介制のワインバーをオープンしました。この店はフランスのワインが主流なので、私がフレンチのメニューを作っています。旬のおつまみは桜田で作った自家製のキャビア、パンにつけて食べるトロトロの魚介スープなど、この店限定のオリジナルメニューです。桜田の営業終了後、夜な夜な1人でワインバーのスープやカレーを作っています。
また桜田は海外のお客様も増えているので、今後は海外も視野に入れていきたいと思っています。自分が作るお茶や『桜田』を世界に通用する店にしていきたい。これは大将も同じ気持ちです。ここ名古屋だけではなく、海外で店舗を出すことを目標としています。
形がないものを売るというのは難しいことですが、
信念を持ち続けてこれからも〝食〟に携わっていきます
オフの日はどのように過ごされますか?また、諸岡さん自身のビジョンをお聞かせください。
オフの日は呑みにいくことが多いですね。食べることが勉強ですので、大将と一緒に気になるお店に伺います。大将の提供するものに対してのアプローチが私の仕事ですから、意思疎通を図り二人三脚で歩んでいます。
他にはソムリエ仲間と世界中のワインが飲めるワインカフェに行き、テイスティングを楽しんでいます。ソムリエ仲間は様々な年齢の方がいますので、楽しみが広がりますね。もちろん、自身でセミナーや試飲会などのイベントにも参加しています。
私自身は海外に自分が作ったお茶を売り出し、日本の文化を広めていく。そして、いつか世界で指折りのサービスマンになりたいです。世界から見て興味を持ってもらえる存在になりたいという野望を抱いています。
「自分がかっこいいと思う仕事を100%頑張る」これが私の仕事へのプライドなのかもしれません。サービスの提供=形がないものの提供はとても難しいことですが、信念を持ち、これからも「食」に携わり続けます。
INFORMATION
『寿し道 桜田』
定休日 日曜日、不定休
営業時間 12:00〜、18:00〜 予約制
予約 pocket-concierge.jp
Instagram susimichisakurada
※お店の情報が変更になる場合がございます。詳しくは、各店のHPやSNSでご確認ください。