愛知県知多市出身 三重県いなべ市在住。

松本 耕太さん
取締役
1988年、愛知県知多市生まれ。
高校卒業後、ビームス名古屋店に勤務。3年後飲食業へ転身。
2016年『八風農園』の寺園風に誘われ、いなべ市へ移住。
同年 月に『上木食堂』をオープン。その翌年に『岩田商店』をオープン。
『フライベッカーサヤ』参入時に、『株式会社 松風カンパニー』を設立。
現在『nord』『COFFEE HOUSE punkt.』を加えた6事業を展開。
2024年4月、『上木食堂』を『新上木食堂』に移転リニューアル。
愛知県出身
あらゆる経験を経て、
『阿下喜』へ やってきた

移住前の写真。名古屋に定期的に野菜を売りに来ていた『八風農園』の寺園さん(右)と。
8年前に移住し、『上木食堂』をオープン
松本さんがいなべ市に移住した経緯を教えてください。
18歳で『ビームス名古屋』に勤務しアパレル業界を3年間経験しました。その頃からずっと「何かができる自分のスペースが欲しい」という想いがあり、飲食の世界へ転身。僕が考える飲食業の原点とも言える名古屋の『Cafe Dufi」で、カフェ・スペインバル・移動弁当屋など、様々な形態を経験しました。
4年後、単身アメリカへ。帰国後、名古屋市にある『株式会社メゾネット』に入社。栄で1階がアパレル、2階が飲食のビルで『maisonYWE』を創ることになった時、立ち上げメンバーになり責任者としてみんなと一緒に創りあげました。しばらくして、「そろそろ独立したいし、田舎でもいいな」という気持ちが自分の中で芽生え始めた頃、いなべ市から名古屋に野菜を売りに来ていた『八風農園』の寺園風と出会いました。2年後、いなべ市の農家仲間から、阿下喜の町旅館が解体されるという話を聞いた寺園から「独立と移住ダブルでできるなら俺の野菜を使って、お店やってみない?」と誘われ、「やる!」と即答し、三重県に移住し独立することを決意しました。
当時は移住仲間も少なかったですし、地元住民の方や行政の方が「若い男の子2人が移住してきた」と仲良くしてくれて、お店に来てもらったり、お仕事をいただいたりという交流が始まりました。今でもいろんな物をもらったり、いろんな人が集まってきたりと、地元ネットワークにはすごく助けられています。

8年間、阿下喜商店街に店を構えていた『上木食堂』。

当時から野菜は『八風農園』、魚は魚屋さんから直接買い付けている。
6店舗を駆け回る日々
『上木食堂』に続き、『岩田商店』『nord』『COFFEE HOUSE punkt.』と阿下喜に次々とお店をオープンさせましたね。
文化的な場所『岩田商店』
『岩田商店』も上木食堂と同じ経緯で、「この場所を使ってくれないか」という依頼があり立ち上げました。当時、余力があったわけではないんですが、働きたいと言って集まってくれた仲間もいたのでチャレンジしました。この頃はまだ文化的な場所が少ない土地だったので、ここの子どもたちにとって、人の手によってクリエイトされた物が身近にある環境がいいなと思い始めました。
その後、名古屋で営んでいたパン屋『フライベッカーサヤ』の参入のタイミングで『八風農園』の寺園風と一緒に『株式会社 松風カンパニー』を設立しました。
『八風農園』『フライベッカーサヤ』『nord』の関係
『nord』は名古屋のレストランを退職後、地元である三重県に戻ってきた西山晴紀にシェフとして入ってもらい開いた店です。彼は、いなべの農園で働きつつ、上木食堂でアルバイトをしていました。ちょうどその頃、阿下喜の知り合いの方が「松ちゃんぜひ使ってくれんかなぁ」と声をかけてくれた物件があり、相方の寺園が作る八風農園の野菜を上木食堂では使い切れていない状況や、来ていただいたお客さんを満席で断ってしまう状況から、新店舗オープンのタイミングが合致しました。そこで西山に「自分で一店舗を切り盛りする覚悟があれば、自分が想うフレンチレストランやってみる?」と声をかけ、始まったのです。
八風農園でさまざまな野菜や小麦・ライ麦などが作られ、その小麦やライ麦でフライベッカーサヤがドイツパンを作り、nordで野菜を使ってパンに合う料理を提供しています。
良い街には良いコーヒー屋が不可欠。『COFFEE HOUSE punkt.』
もう一つ欲しかった空間として、美味しいコーヒーが飲める場所というのがありました。エスプレッソマシーンを用意し、店の準備をしていた頃、名古屋のカフェでメインパティシエとして働いていた韓英秀が頭に浮かび、店長をやってくれないかと誘い、三重に来てくれることになりました。2023年6月に移住し、nordに出勤しながらデザートの試作をしつつpunkt.の立ち上げ準備を一緒にして、同年8月に『COFFEE HOUSE punkt.』をオープンすることができました。

阿下喜の商店街の一角にあるギャラリー『岩田商店』。

『nord』シェフの西山さん(右)と、お客様との関わりについて打ち合わせ。

代表取締役である寺園さんの農園『八風農園』で採れた野菜たち。

『COFFEE HOUSE punkt.』店長の韓さん(左)と、出店について打合せ。
店舗のマネージャー業、会社の体制管理に加え、
社外との繋がりという新たな展開が同時期にスタート
安心して任せられるスタッフが居る
長年の夢であったpunkt.のオープンと同時期に、いなべ市のグランピング場『Nordisk Hygge Circles UGAKEI』にnordでフレンチを提供し、更に同時期に上木食堂の移転の話をいただきました。今までは現場の仕事まで全部自分で抱えてしまっていた成せば成る主義の自分に、寺園が「もっと手を離せ」と調整してくれて、俯瞰で見て動けるように今やっとなれた気がします。上木食堂には安心して任せられる店長、水野里真が居ます。自分1人では全てのことは到底できないし、信頼して任せられるスタッフが各店舗にいる。だからこそ、自分は経営などの会社を整えるという業務にも打ち込むことができ、GCI(※1)などの外部の方々や行政からも声をかけていただき、規模を拡大できたんだと思います。今思うと移住してからずっと、店舗について、スタッフについて、会社について、社外との繋がりについて、地域について…、常に何かを考えて動いていますね。
※1 GCI…Green Creative Inabe 一般社団法人グリーンクリエイティブいなべ。2019年にオープンしたにぎわいの森を拠点に、SDGsの観点で地域資源をカジュアルに活用して、都会の人たちを魅了するまちづくり。

『新上木食堂』の店長、水野さん。『八風農園』の野菜を愛しており、その野菜で自ら漬物を作っている。

『新上木食堂』のメンバー。会社全体のことを考えられるのも店舗を任せられるスタッフが居るからこそ。
『新上木食堂』

『上木食堂』から現在の『新上木食堂』に移設したキッチンを囲む櫓。松本さんと共にお客様を迎え入れたこの櫓は「どうしても持ってきたかった」大切なもの。
新しい場所
旧『阿下喜温泉』のリニューアルの話が上がった際、運営会社『株式会社 旅する温泉道場(※2)』の宮本さんと打ち合わせをさせていただきました。そこで、お互いの思想を話し合い、「ぜひ一緒にやりましょう!」となり、温泉施設とのコラボが決まりました。
『松風カンパニー』の現店舗を宮本さんに見てもらい、『新上木食堂』の内装はかなり自分達好みの雰囲気にしていただきました。色々汲んでいただいたからこそ「ちゃんと答えなきゃいけないな」という想いがあります。
ほんとにできる?これで正しい?みたいな自問自答はずっとあって、店舗の規模が倍どころではないからこそ見えない不安は毎朝のようにありました。でも、その不安以上に、いろんな物が揃い形になってくると、一つ一つ不安が減っていき、更にスタッフの理解が深まると楽しみの方が上回ってくるんです。
今までは客席数も少ないため予約をしないと入れない印象もあったと思いますが、新店舗は席数も多くなり、たくさんの方に来てもらえる場所になりました。いなべ市にキャンプや自転車など息抜きに来てくれるたくさんの人の受け皿になれると確信しています。「僕らならチャレンジできる」と、引き受けたことがこの規模で実現でき、携わってくれた方々に本当に感謝しています。僕たちに任せてよかったと、思ってもらえるように進んでいきたいです。
※2 株式会社 旅する温泉道場…三重県四日市市で『おふろcafé 湯守座』を運営している会社。『おふろcafé』とは、温泉道場グループが展開するスーパー銭湯のブランド。従来通りの機能に加え、カフェのようなおしゃれさや楽しさを融合した、新たなお風呂屋さんのスタイルを提案している。
2人で着実に進んできた
寺園風との関係
新上木食堂の話を受ける時もそうですが、何かを始める時は必ず寺園に相談します。ある程度の概要を話すと決まって彼からは「松本くんがそう言うなら、やった方がいいんでしょ?」という答えが返ってきます。反対に、彼がしている農業の仕事で必要な機械の購入なども説明を聞けば納得して「それが必要なんでしょ?」と僕が答えます。
阿下喜に移住してきてから色々な心配があったのは当然ですが、なんだかんだきちんと運営して資金繰りしてきたのが自分達です。お互いに迷惑をかけながら、わがままも貫きながら(笑)、それでも着実に2人で進んできました。そう思うと、自分たちとしても会社全体としても成長はしているはずです。
『上木食堂』が8年目に『新上木食堂』になり、この先どうなるのだろう…とわくわくしています。なかなかこの規模のお店を運営できる機会もないので、みんなで楽しみながら、協力し合いながら、今回の波もうまく乗りこなしていきたいと思っています。

2018年、阿下喜に移住して2年ほど経った頃、相方の寺園さん(右)と。
この頃は松本さんが『上木食堂』を切り盛りしていた。

2024年、『松風カンパニー』6店舗目の『COFFEE HOUSE punkt.』の前で。
撮影時、ちょうど寺園さんが野菜を運んできたので、6年ぶりに並んで撮影。
INFORMATION
新上木食堂
定休日 第二・第四火曜日(※その他臨時休業あり)
営業時間 11:00〜22:00
TEL 0594-37-6033
Instagram @shin_ageki_syokudou
※お店の情報が変更になる場合がございます。詳しくは、各店のHPやSNSでご確認ください。