自分が前に進めているのは周りのサポートのおかげ。
だから、どんな苦境に立ったとしても、諦めたくはない。

Takahiro Ishikawa

石川 貴啓さん

三重県生まれ。5歳からサッカーを始めて、高校・大学でもサッカー人生を送る。
大学時代に突然『1型糖尿病』発病。それでも持ち前の根性でサッカーを続け、
ヴィアティン三重に入団。2017年シーズン終了後引退。
その後、長島、岐阜、イタリア・ナポリでピッツァ職人の修行を積み、
帰国後、本格薪窯を載せたピッツァトラックで各地を回っている。

僕が好きな事を続けていられるのも周りの方のサポートがあってのことなので、サッカー時代も今も、人との繋がりにはとても感謝しています。

小さい頃にサッカーを始めたんですね。

はい。当時Jリーグができたばかりで憧れがあり、幼稚園のサッカークラブに入ったのがきっかけでのめり込みました。それから高校・大学とサッカー漬けの人生でしたが、21歳の冬、大学が廃校になりサッカー部がなくなりました。僕たちの学年は4年生をそのまま過ごすことができましたが、僕は続けたかったので大阪学院大学に編入する気でいました。そんな矢先、突然病気になりました。『1型糖尿病』という病気で、サッカーどころか普通の生活もできない状態で「人生終わった」と思いました。でも、Jリーガーにも同じ病気の方がいるのを知り、主治医を変えスポーツ医療をしている先生に出会いました。これを機に「諦めたくない」という気持ちがふつふつと湧き、治療しながらサッカーを続けました。ただ大学生活はコントロールが効かず、うまくいかなかったですが…。そして卒業後は『アイン食品サッカー部実業団』に入団しました。
病気はずっとコントロールできずに悩んでいました。発症して4年目に、サッカー選手で同じ病気の人がFC岐阜にいることを知り、会いに行きました。それが杉山新さんで、自分の世界が一気に広がりました。25歳で『ヴィアティン三重』からオファーをもらい、「ここしかない」と思い入団しました。当時のカテゴリーは低かったんですが、僕は可能性があると思っていましたし、実際にJリーグに上がれるチームになり、27歳の時にはJFLで活動しました。
そしてその後自分なりに考えましたが、タイミングもありサッカー人生の幕を閉じました。

引退後、ピッツァの道に進むことになったのは、どうしてですか。

何をするか決めずに辞めたので、自分でやれることを探していました。サッカー時代によく食べに行っていたピザ屋のオーナーに、今後のことを相談していたこともあり「うちで一回働いてみる?」と誘ってもらえました。もともとピザを焼く姿をかっこいいなと思いオーナーと仲良くなっていたので、「チャレンジしてみよう」と思えました。始めたらピザに対する思いが熱くなり、「もっと上手くなりたい」とサッカーをしていた頃の気持ちが甦りました。そして「誰よりも上手くなりたい」と県外のピザ屋を食べ歩きそこで出会ったミシュランのピザ屋に誘ってもらい、更にレベルをあげたいと転職しました。
その後「イタリアに行くしかない」と、携帯・財布・1年分の薬を持ち一人で旅立ちました。なんとかホテルにもたどり着き、ナポリで働き先と住む場所を探しました。その間スペインで行われた杉山新さん主催のプロジェクトで『1型糖尿病』の子供支援活動にも参加しました。「自分が病気だからできない」じゃなく「絶対できる」を証明したいので、声をかけられたら取り組みます。
その店の後も3店舗働きましたが、コロナで2021年4月に街がロックダウンした為、一度帰国しました。周りから「もう行かんやろ」と言われていましたが、7月に入国可能になってすぐイタリアに戻りました。

帰国後、フードトラックというスタイルでいこうと思ったのは、どうしてですか。

ナポリピッツァと共にイタリアで感じた美味さ・かっこよさ・カルチャー自体も広めたいので、移動できるのがベストだと考えました。店名はナポリの歴史の中心部のピザ屋という意味で、ナポリの友達から「タカの技術、スタイルは全てここだよ」と言われ、みんなで決めた思い入れのある名前です!食材も全てイタリア産を選んでいます。トラックは友人の『イーストコーストカスタムズ』、塗装は『株式会社サンライト』、釜は岡崎の釜屋に特注で作ってもらい、壁は弟、他は自分で作りました。知人と一緒に作り上げたトラックです。サッカー時代も今も、ここまで僕が活動できるのは周りのサポートのおかげです。だから人との繋がりに日々感謝しています。

石川さんのこれからを教えてください。

僕のピッツァを食べてハッピーになってくれたら嬉しいです。最近も高校の文化祭に呼んでいただき、貴重な体験をさせてもらいました。あとは同じ病気で悩んでいる人とも関わっていきたいし、支援活動もしていきたいです。このトラックがあればどこにでもいけますので!
でも、やっぱりいずれは自分の店舗を持ちたいです。ナポリでみた華やかな店の印象が今も濃く残っています。理想がはっきりとあり、確実にビジョンはあります! これからも「行くしかない。絶対やったろ。」の精神で進んでいきます。

病気や苦境に打ち勝つ気持ちと、周りの人への感謝の気持ちが、いつも彼の原動力になっている。

INFORMATION

ピッツェリア デル チェントロ ストーリコ ディ ナポリ

桑名市坂井167-1
定休日→月、木
pranzo11:00〜14:00
cena17:30〜20:00
taka1026ishi@gmail.com
Instagram : pizzeria_del_centro_storico

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