ここは桑名にある立ち吞み屋 スタンド『涎』

Design Office ATIS 15th Joinfo mag Special interview
ATISの元スタッフであるタクさんと、ATISのイベントの運営に関わっていたケイスケさん。
現在、彼らが営むお店で、彼らならではの感覚や生き方を語ってもらった。

水谷 圭介

Mizutani Keisuke

中学生の時にバンドを好きになりそこから音楽、ダンス、DJなどにも興味を持つ。音楽イベントなどを手掛け、国内、海外等で得た知識を活かし、地元で老若男女が繋がれる場所を作りたく、伊藤 拓と共に立ち呑み屋 スタンド『涎』を開業。

伊藤 拓

Ito Taku

19歳に『ダウニー』(服屋)の店長を務め、7年後にアパレルショップ1代目『TAMO』を立ち上げる。ATISに入社後は2、3代目『TAMO』としてアパレルとカフェを運営。その後ATISを退社し、水谷 圭介と共に立ち呑み屋 スタンド『涎』を開業。

ストレスを溜めずに身の丈にあったことをする

スタンド 『涎』

ATISのイベントがキッカケで出会った2人。
共通の趣味から仲良くなり、立ち上げたスタンド『涎』は4年目に突入。

K : ケイスケさん  T : タクさん  Q : 質問

01 _ お店のテーマは何ですか?

K オープンした時と今ではテーマが違うから、何ですかと聞かれると難しいですね。
T 最初は台湾とかアジアを意識しようっていうスタンスで始まりました。当時は無かったもんね、まだこういう立ち呑みっていうのが。
K ざっくり言うと、ネオ大衆って言うジャンルになります。ネオ大衆は僕らが始めた時だと、名古屋でも一店舗しかなかったです。今は数えきれないくらいに増えています。ネオ大衆っていうベースで作ってるけど、やっぱり常にアップデートはしていきたい。お酒もフードもなんですけど、括りをあまり強く決めていないんですよ。自分らの中で持ってるコンセプトは、アジア圏、特に東南アジアのイメージです。だけど、日本のいろんな地方のB級グルメとかも入れたいと思っていて、今一番力を入れているのは沖縄です。僕が住んでいたということもあって、沖縄のカルチャーに繋がりがあるので。僕らは常にアンテナを張っているし、その時々に応じて変えていこうと思っています。
T なので、限定した国やテーマなどの色を出し過ぎないようにしています。
K もしかしたらこれを掲載してもらう時には、アップデートされてるかもしれないですね。

ちなみに…チキンオーバーライスについて

ケイスケさんがニューヨークに住んでいたことから、チキンオーバーライスというニューヨークのB級グルメをメニューに入れている。チキンオーバーライスはハラールフード。ハラールは中東系の料理で元々はトルコ料理だそう。トルコでもチキンオーバーライスという料理はあるが見た目は少し違う。そして涎では日本人が好むようにアレンジをしている。というのも、ニューヨークではむね肉を使うことが多いそう。テイクアウトメインで最初はむね肉を使っていたが、時間が経った時にパサパサになるのでもも肉にしたという。米はバスマティがよく使われているが、涎は日本米にターメリックで色を付けている。日本米の方が美味しいからという理由よりも、フードロスを考えた時に他の料理で使えるというのが一番の理由らしい。ちなみにケイスケさんはバスマティの方が好きだという。

取材中にいただいた! よだれどり

鶏がぷるぷるでタレと絡んで言うまでもなくうまい!ついついお酒がすすむ一品。

Q 情報収集のために、お二人で色々なお店に行かれているんですか?
K 一緒に行くこともあるけど、お互いが別々に動いて情報を共有することが多いですね。どちらかと言うとタクは東京が多くて僕は大阪が多い。大阪にも住んでいたことがあって飲食店の友達が多いので。
T 僕はアパレル時代から東京によく行ってたし、お世話になった方もいるので、ストリートカルチャーのショップがルーツでもあります。

02 _ 桑名でオープンした理由とは

T ケイくんは四日市でやりたいって言っていたんですけど、僕は過去に四日市でお店をやっていたので、新しい人と出会いたくて桑名でやりたかった、というのが一番の理由です。それは僕の中で最初から決めていたことでした。
Q その意見はすんなり通りましたか?
T もともと僕がプロデュースするという話だったし、四日市でやるなら僕はやらないっていうスタンスでした。ケイくんは「四日市でやろうよ」と言っていましたが。(笑)
K もうそんなこと広めやんといてよ。(笑)もともと桑名でやるつもりやった、っていう雰囲気出しとんのやから最近。
T 俺めっちゃ言われたもん。「俺、桑名やったらやらんで」って。(笑)
K でも桑名でお店をやって良かったし、立地も良かった。

03 _ 涎を始めて良かったこと

K 別の仕事をしている時にいろんなところに住んでいました。僕がその町を知る一発目の動きが、立ち呑み屋に行って年齢関係なく、色々な人と仲良くなって、ローカルな情報を教えてもらうことなんですよ。僕は桑名出身で、今でも桑名に住んでいるんですけど、桑名で行きたいと思う店があまりなかったこともあって老若男女問わず20代から、それこそ80代ぐらいまでがリンクできるような店を作りたかった。今、僕らが理想とする形になってきているから、涎を始めて一番良かったのは、年齢関係なく友達が本当にたくさん増えたということ。

04 _ 今後どんなお店に していきたいですか?

K 音楽やファッションというカルチャーをもっと強く出していきたい。なにしろ、今は若い子がイケてる。ウチによく来てくれるお客さんは、名古屋の若い女の子が多いんですよ。僕たちもまだまだプレイヤーとして攻めていく部分もあるけど、それと並行して、その子らが何かをやりたい時に、例えばここで、ブランドのポップアップやイベントをしたいとかも含めて、助けてあげられるような店にしたい。やっぱり、今の若い子たちのスキルは僕たちの若い時とはレベルが違うし、性格もいい。その子たちから、「こういうことをやりたくて、こういう人を探してます」といった相談を受けた時に、すぐ助けてあげられる駆け込み寺みたいな店になったらいいかな。「涎に行ったら何でも解決するね」っていう。

05 _ 新しく始めたいことはありますか?

K これはもう秘密にしとこ。
T いっぱいありすぎて・・・。
Q 何か大きい企画を考えていますか?
K 大きいかどうかはわからないですけど、やりたいことはいっぱいあります。
T そんな大それたことじゃないですよ。
K あまり大きいことをしたいと思ってないですね。大きいことって結局、僕たちのやりたいようにできなくなることが、どんどん増えていくじゃないですか。大きくなればなるほど。
T 僕たち二人は〝身の丈〟って言葉を大事にしているんで。
K なおかつ、ストレスを感じたくない。
T  そう!そういうのは二人でまじめに話し合います。
K ストレスがどれだけ溜まっているかどうか。「これ、ストレス溜まるんやったらやめとこう」という話を一番真面目に話すかな。

06 _ 人生を楽しむコツは?

K  ムズいなぁーー。まぁ、とりあえず身の丈じゃないですか?
T いやマジで。さっきも言ったけど、身の丈にあったことをすることと、ストレスを溜めない人と居ること。
K 仕事に対して疲れることはもちろんあるけど、メンタルのストレスはなるべく減らしたいと思ってる。
T それは常に共通認識で 。

INFORMATION

スタンド涎

[住所]三重県桑名市桑栄町1-2北館サンファーレ1F
[営業時間]16時30分~0時00分
[定休日]日曜日