花原史樹

漫画家

1988年生まれ・沖縄県出身。いっしょに暮らしている
いぬとねこや生活をテーマしたまんがや絵を制作。
2023年4月からSNSにて『ねんねんころころ』の掲載を開始。

OUR FEEL(アワフィール)にて毎日連載中 : ねんねんころころ
Instagram : @hanaharafumiki

Q1 普段の活動からねこ愛が伝わってくるのですが、なぜねこをメインにしようと思われたのですか?

花原 ねこと暮らし始めたのは大学生の頃で、その瞬間から「描かずにはいられない」という衝動に駆られました。ねこがすごく魅力的に感じられて。
今考えたら不純なきっかけだとは思うのですが、当時片想いしていた相手に振られて生きる支えが欲しくてねこと暮らし始めました。

石川 そうだったんですね。そこからどうやってねこの絵を描くことに?

花原 大学生の頃からねこの絵は描いていたのですが、大学を卒業してからしばらく描かない時期がありました。その時さっき話にも出た片想いしていた相手(今も友達なんですけど)その人に「ねこを毎日描いた方がいいよ」って言われたのがきっかけで今描いているねこの絵や漫画に繋がってますね。

石川 振られた相手の言葉をちゃんと受け止めて”じゃあ描こう“って思えたのがすごいですね。

花原 その方は今も作品を作り続けている作家で、そんな方から言われたので叱咤された気がしました。

石川 恋愛的な感情だけでなく、すごく尊敬されてるからなんですね。

花原 そうですね。

石川 そこからはずっと描かれてますよね。今でどれぐらいになりますか?

花原 2015年ぐらいからなんで、ちょうど10年ですかね。

石川 節目の年ですね!

Q2 ねこの魅力を教えてください。

花原 魅力…。一言にするのが難しいですね(笑)。

石川 (笑)。

花原 今、猫達とも15年ぐらい過ごしているんですけど・・・

石川 一番初めに迎えた猫ちゃんですか?

花原 そうですそうです。親子で二匹里親さんから譲っていただきました。猫の魅力とか感じ方が時期ごとに変わってくるんですけど、今は一緒に寝てくれるところですかね。

石川 かわいいですね(笑)。

花原 毎晩スッと枕元に来て一緒に寝てくれるのが、自分を肯定してくれているような気がします。そういう部分に魅力を感じますね。猫ってあまり人に懐かないと言われることもありますが、うちの子達はひらのくん(Joinfomag vol.48 参照)達とシェアハウスしてた時から人懐っこくて、初めて家に来た人でも膝の上に座ったりしてますね(笑)。

石川 かわいい(笑)。シェアハウスされてた時から飼われていたんですね!

花原 シェアハウスを始めて2年目ぐらいで「飼っていいですかっ!」って(笑)。そしたら「オッケー」ってきて(笑)。

石川 他に何か飼われてたんですか?

花原 いや、大学生の時は3人と2匹でいましたね。そこからそれぞれ別々の道に進んで、3年くらい間が空いたんですが、また再集合してみんなで一緒に住むことになったんです。その時は、りょうくんが猫を飼っていたので3人と3匹で過ごしてましたね。

石川 ひらのさんの猫ちゃんとは仲良かったですか?

花原 悪くはなかったですね。ややこしいんですけど、途中でまた人が増えてその人も猫飼ってて、最終的に男4猫4で暮らしてました(笑)。りょうくんの猫とその人の猫が仲が悪かったですね(笑)。

石川 (笑)。じゃあ結構ぎゅうぎゅうで暮らしてたんですか?

花原 いや、一軒家を借りてたので1人1部屋ある感じでしたね。

石川 楽しそうですね!

ゆきちゃんとはるちゃん

Q3 4コマ漫画の内容は花原さんの経験談なのですか?おころりちゃんの誕生のお話を伺いたいです!

花原 そうですね。経験をもとにしているときもあるんですけど、自分が子どもの頃に動物と暮らしてこなかったので、もし子どもの頃にねこと一緒に暮らしてたらどうだったかなっていうのを膨らませてます。経験+想像です。おころりちゃんはずっと一緒にいる2匹の性格を1匹にしたような子ですね。

石川 2匹をモデルにしてたんですね。なぜイラストレーターではなく、漫画家の道を選んだんですか?

花原 子どもの頃から、デザイナーやイラストレーターというより、はっきりと「漫画家になりたい」という想いがありました。無邪気に4コマ漫画やストーリー漫画を描きなぐっていて、本当に漫画が好きだったんです。だから本当は大学に行きたくなかったんですけど、「東京に行きたい」という気持ちだけがあって。そこで美大の存在を知り、進学をしました。でも、美大では漫画と真剣に向き合うことはなくて、卒業して、就職して、漫画を描くことはなく、なんとなく時間が過ぎてしまいました。ねこの絵はよく描いていたんですけど、漫画を描いていないなって思っていた時、数年前にチャールズ・M・シュルツ(『ピーナッツ』の作者)のドキュメンタリーを観たんです。その内容が『ピーナッツ』の新聞連載の話で、彼が僕と同じ年齢の頃から亡くなる直前まで、毎日欠かさず漫画を描き続けていたことを知って、すごく衝撃を受けました。「このまま何もしないでいたら、あっという間に時間が過ぎてしまってきっと後悔する」。その気持ちから1日1ページでも描けば積み重なっていくということにやっと気が付きました。それからねこが出てくる優しい内容の4コマを描こうと思い『ねんねんころころ』ができあがりました。

石川 『ねんねんころころ』に出てくる登場人物はどういったキャラクターイメージで作られましたか?

花原 登場人物は明るい時の自分はこのキャラクターで、暗い時の自分はこのキャラクターでって描き分けてますね。

石川 自分の感情から派生していく感情の中のキャラクター達ってことなんですね。

花原 そうですね。

石川 毎日描かれてると思うのですが、ネタは尽きないですか?

花原 いや、無くなってます・・・(笑)。絞り出してますね。毎日めちゃくちゃ難しいですね。

Q4 普段どんなテレビや漫画を見ますか?また影響を受けた漫画などはありますか?

花原 子どもの頃から「ゲゲゲの鬼太郎」、「鉄腕アトム」、「天才バカボン」とかちょっと昔のものが好きでしたね。あとは「ドラえもん」とか。今の漫画の絵柄じゃなくてデフォルメされた絵が好きですね。

石川 そこから影響を受けられたから、ねんねんころころもデフォルメされた絵柄なんですね。

花原 そうですね。いわゆる昔の絵が好きですね。
石川 最近はどういったものから影響を受けましたか?

花原 最近の作品も一通り読んではいるんですけど、パッと思いついたのは『ふつうの軽音部』っていう漫画ですね。

石川 どういった部分が良いですか?

花原 読んでいてアツくなりますね。高校生の解像度が高くて、高校生の頃ってこうだったなってことを思い出されるというか。

石川 こういった作品を読んで、自分の漫画に活かしてみたいと思うことはありますか?

花原 活かしたいというか「やられてしまった・・・。」と思いますね。もうできないな、この人の物だなって。悔しい気持ちが大きいですね。

Q5 ひらのりょうさんから尖った作品も創っていると伺ったのですが、学生時代の作品について教えてください!

花原 自分としてはりょうくんの方が学生の時から突出してて、友達だけど嫉妬の対象でした。僕は逆というか大学の課題でもあまり向き合えず真面目ではなかったですね。すごく反対のことばっかりで過激なこともしてました。当時はみんなが扱わないような題材をあえて使うのがカッコいいって思っていて(笑)。

石川 当時のエピソードはなにかありますか?

花原 例えば写真の課題でみんなが自撮りをしていて、風景の写真を撮るなか、1人だけセルフヌードを撮ったり。そういうのがカッコいいって思っちゃったんですよ(笑)。

石川 おもしろいですね(笑)。

花原 当時書いてた漫画もみんなが描かないものを描いてやろうっていう気持ちが大きかったですね。

石川 今の漫画のことを考えると意外です(笑)。

花原 意外ですか(笑)。

ガーティ

Q6 今後、挑戦したいことはありますか?

花原 いっぱいあるんですけど、電子ではなく紙で単行本を出したいですね。それとねこが出てこない漫画を描きたいですね。もちろんねこの漫画を描き続けながらですけど。

石川 以前からそういった作品も描きたいとお考えでしたか?

花原 そうですね。今描いている漫画を始める前から思っていたのですが、私小説のような感じで、大学時代に好きだった人のことも描けたらいいなと思っています。

Q7 今号のテーマが「弾む」なのですが、最近心が弾んだことについて教えてください。

花原 最近に限らずですが、1番はやっぱり創ったものに対して「あれよかったよ」などの感想をもらえることが心が弾みます。描いててよかったなって思いますね。

石川 以前ひらのさんにインタビューさせていただいた時、披露する瞬間が一番緊張すると仰っていたのですが、花原さんも披露する瞬間は緊張されますか?それとも「見てもらうぞ!」ってわくわくされますか?

花原 自分はどちらかというとわくわくしますね(笑)。描いた瞬間とラグがあるので別の人の作品って感じで見れてますね。

石川 俯瞰的に見られてるんですね。クリエイターさんは緊張されながらの方が多いのかなって思ってました(笑)。

花原 自分は見てほしいなって思います!

Q8 花原さんのキニナル人を教えてください!

花原 シェアハウスで最後に増えた住人の江本祐介君です。ソロで活動していたり、ひらの君と江本君と松本さん(※)でENJOY MUSIC CLUBっていうグループを組んで活動していたりします。

石川 どんな方ですか?

花原 優しくて曲がすごく良いので、懐かしい気持ちにもなるし新しい感じもするし人柄と曲がすごく合っている感じがしますね。

石川 江本さんのどの辺が気になりますか?

花原 彼の音楽遍歴とか、どういう音楽で育ったかを聞くだけで面白いと思います!

石川 そもそもどうして江本さんもシェアハウスすることに?

花原 もともとりょう君とお友達でそこからすごく仲良くなった流れですかね。江本君の部屋がなかったんでリビングに住んでたんですよ(笑)。

石川 江本さんのパーソナルスペースはなかったんですね(笑)。

花原 そうですそうです(笑)。一時期は同じバイト先だったので一緒に家を出て一緒に帰ってきて、2人で好きなテレビ見てっていう時間が一番幸せでしたね。

石川 かわいいですね(笑)。

花原 すごい楽しかったです(笑)。

石川 花原さんはENJOY MUSIC CLUBに入らなかったんですか?

花原 気がついたらできていました(笑)。でも遠征のときは一緒について行ったりします。2018年には中国について行きました!

石川 とても仲良しですね!江本さんにお話しを聞くのが楽しみです!

※松本 壮史 1988年生まれ。多摩美術大学卒業。
2021年「サマーフィルムにのって」で長編映画デビュー。他、主な作品に映画「青葉家のテーブル」ドラマ「お耳に合いましたら。」くるり、日向坂46、サニーデイ・サービスのMV など。2023年春、WOWOW ドラマ「ながたんと青と」放送。
引用元/THE DIRECTORS GUILD


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